お口の衰え
最近の食事は、柔らかい食べ物が人気ですが、柔らかいものばかり食べ続けると「口腔機能」が衰えてしまうかもしれません。高齢の方には気を付けてほしいですが、実は若いうちから意識することで、健康なお口を長く保つことができます。
柔らかい食べ物のメリットと落とし穴
忙しい現代人にとって、柔らかい食べ物はすぐに食べられて便利だと思います。特にコンビニで手に入るサンドイッチやカレー、パスタなど、歯をあまり使わずに食べられるものが増えています。しかし、お口の中の筋肉や顎の骨は、「噛むこと」で鍛えられ、保たれています。硬いものを噛むと自然と筋肉が刺激され、血流も良くなるため、健康にも良い効果があるのです。
噛むことの驚きの効果
実は「噛むこと」には、お口の健康以外にもたくさんのメリットがあります。例えば、よく噛むことで食べ物がしっかり消化されやすくなり、胃腸の負担が軽減されます。また、噛むことで脳にも刺激が伝わり、集中力や記憶力を高める効果があるとされています。噛むときの力は一口で50kg近くに達することもあるといわれており、これが定期的に行われることで、骨や筋肉の維持に役立ちます。
噛む力が低下するリスク:口腔機能低下とオーラルフレイル
噛む力が低下することで「口腔機能の低下」や「オーラルフレイル」と呼ばれる状態が進んでしまうことがあります。これは、お口の中の筋肉や唾液の分泌、飲み込む力などが衰えることを指します。さらに進行すると、硬いものが食べにくくなり、栄養の偏りが生じるほか、誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクも高まってしまいます。
日常生活でできる「噛む力」を保つための工夫
1. 噛みごたえのある野菜や果物を摂る:キャベツやブロッコリー、リンゴやナッツなど、しっかり噛む必要のある食材を積極的に取り入れてみましょう。
2. ゆっくり食べる習慣をつける:一口ずつよく噛んで味わうことで、満腹中枢も刺激されて食べすぎ防止にもつながります。30回以上噛むと良いといわれています。
3. 口の体操やストレッチを行う
口を大きく開ける「あいうえお体操」や舌を動かすトレーニングなどを、毎日のケアに取り入れてみてください。ある程度の硬いものをしっかり噛むことは、ただの食事の一部ではなく、健康を維持するための大切な「トレーニング」でもあります。